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【プレスリリース】適切な妊娠中体重管理のための大規模周産期データを用いたシミュレーションによる解析

2023年12月21日
日本女子大学 広報課
国立研究開発法人 国立国際医療研究センター
東京医科歯科大学

概要

日本女子大学 家政学部食物学科 佐藤憲子教授、国立研究開発法人国立国際医療研究センター 国際医療協力局 春山怜医師、および東京医科歯科大学 生殖機能協関学分野 (周産・女性診療科) 宮坂尚幸教授の研究者からなる研究グループは、35 万人以上の周産期データベースを用いて、日本人 集団の出生体重適正化のための母体体重管理についてシミュレーションによる検討を行い、以下の結果を得ました。

  1. 一律に妊娠中体重増加量(※1)を3kg 増やした場合、在胎不当過小(※2)児は2.07%減少、 在胎不当過大(※3)児は3.38%増加する。
  2. 体重増加が不足と考えられる妊婦の体重増加量を3kg 増やし、体重増加が過剰と考えられる妊 婦の体重増加量を3kg 減らした場合、在胎不当過小児は0.91%減少、在胎不当過大児は0.37%増加す る。

また、サブコホート解析(n = 859)により、妊娠20 週以降の体重増加の過不足状態は、多くの場合 最終的な妊娠中体重増加量の過不足状態と一致していることを明らかにしました。

これらの結果は、日本人の「妊娠中の体重増加曲線」(※4)を活用して妊娠期間を通して個別に 体重管理を行う有効性を支持します。

本研究の成果は、2023 年11 月28 日付で国際科学雑誌「Scientific Reports」のオンライン版に掲載されました。

用語解説

※1 妊娠中体重増加量:妊娠中母体の体重は、胎児、胎盤、羊水、循環血液量、子宮、乳房、脂肪組 織の増大などのため、妊娠経過とともに増大する。産科で定義される妊娠中体重増加量とは、妊娠期間を40 週とした場合の母体の分娩時体重と妊娠前体重の差(妊娠中の体重の増加分)のことであり、 分娩週数がぴったり40 週に一致しないときは、週あたりの体重増加値に基づいて40 週における体重 増加量を算定して求める。

※2 在胎不当過小(Small for gestational age, SGA):出生体重が在胎期間ごとの標準的な分布の10 パ ーセンタイル未満の新生児の状態。出生体重は在胎期間によって大きく変わる。よく問題とされる低出生体重(出生体重が2500 g 未満)というカテゴリーでは、在胎期間が短いために体重が少ないの か、同じ在胎期間の体重標準値に比べて体重が少ないのか区別できない。そこで、本研究では、在胎 期間ごとの出生体重分布の中で低い方の10%を示す在胎不当過小を評価した。

※3 在胎不当過大(Large for gestational age, LGA):出生体重が在胎期間ごとの標準的な分布の90 パーセンタイルよりも大きい新生児の状態。

※4 妊娠中の体重増加曲線:環境省の「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」の 約10 万人の妊婦の情報を用いて作成された妊娠前体格別の日本人の妊娠週数別体重増加値をプロッ トした曲線。

詳細は以下のファイルをご覧ください。
リリース文書