研究業績
主な研究分野
主に疾病対策、母子保健、保健システム強化の3つの領域で開発途上国の保健医療に関するテーマを取り扱い、毎年数多くの研究業績を上げています。
2023年度 研究業績
2023年5月30日 Health Systems and Reform
NCGM国際医療協力局 野田信一郎医師とフランス、カナダ、ブラジルの研究者らによる論文「Hospital Governance During the COVID-19 Pandemic: A Multiple-Country Case Study」がHealth Systems and Reformに掲載されました。
この論文は、COVID-19の第1波から第3波が来た時に、どのように病院のガバナンスが再編成され、スタッフの差し迫ったニーズに対応する能力を発揮したのか、そのための促進要因・阻害要因はなんだったのかを、病院スタッフを対象にインタビュー調査したものです。
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2023年5月21日 Health Services Insights
一橋大学 本田教授、NCGM国際医療協力局 野田医師らによる論文「Factors for Consideration When Setting Prices for Private Healthcare Providers Operating in Public Systems: A Comparison of France and Japan 」がHealth Services Insightsに掲載されました。
UHC(ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ)を達成するために、多くの国では公的医療機関に加えて民間医療機関をいかに活用していくが重要なテーマとなります。この論文では、医療機関への支払いが社会医療保険制度で行われている日本とフランスとの比較を通じて、民間医療機関への支払いに影響を与える要因を探りました。
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2023年5月10日 EDIZIONI MINERVA MEDICA
NCGM国際医療協力局 村上仁医師、神田未和助産師らの論文「新型コロナウイルス感染症が相対的貧困者に与える経済面、生活面、精神面の影響」がEDIZIONI MINERVA MEDICAのWebサイトに掲載されました。
この論文は、日本における相対的貧困者(世帯所得を世帯人数の平方根で除した値が2019年の平均世帯収入の中央値に半分に満たない)1,000名を対象に2021年9-10月オンラインでCOVID-19の経済面・生活面の影響、同病への恐怖、社会支援とK6スコアによるSPD (serious psychological distress: 重度の精神的苦痛)有無を調査したものです。
調査によるSPDの有病率は17.9%。SPD有無を従属変数、対象者の属性とCOVID-19の様々な影響を独立変数とした多変量ロジスティック回帰分析により、SPDとの関連因子として、①収入減少とそれに伴う生活への影響(携帯電話の停止、炭水化物が多く肉・魚や野菜が少ない食事への変更等)、②労働環境に関係する影響(テレワーク、性自認に対する不当な扱い等)、③直接的な精神・心理的影響(精神疾患の悪化、コロナ恐怖尺度点数が平均以上等)が明らかとなりました。
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2022年度 研究業績
2023年3月15日 Global Health & Medicine
NCGM国際医療協力局 野崎威功真医師、蜂矢正彦医師、池田千絵子局長による論文「COVID-19 vaccination program in Cambodia: Achievements and remaining challenges」がGlobal Health & Medicineに掲載されました。
この論文は、成功国として広く認識されているカンボジアCOVID-19予防接種プログラムについて、保健省発表や報道記事を中心に、プログラムの歴史と変遷を振り返り、その成果と残された課題について考察しています。
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2023年2月16日 Journal of Migration and Health
NCGM国際医療協力局 藤田雅美医師、神田未和助産師、清原宏之歯科医師、岩本あづさ医師、須藤恭子看護師らによる論文「Migrants’ access to COVID-19 vaccination in Japan: Progress and challenges」が、Journal of Migration and Healthに掲載されました。
この論文は、NCGM国際医療協力局が構成メンバーである「みんなの外国人ネットワーク(MINNA)」の関係者、NPO法人 国際活動市民中心(CINGA)、東京都福祉保健局、外国人診療に携わる方々、多文化共生の研究者と協力し、日本における外国籍の方に対する新型コロナワクチン接種の状況を国際的な枠組みを用いて記述した上で、外国人の保健医療へのアクセスをめぐる課題について考察したものです。
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2023年2月20日 International Journal of Infectious Diseases
NCGM国際医療協力局宮野真輔医師らによる論文「Comparison of population-based measles-rubella immunoglobulin G antibody prevalence between 2014 and 2019 in Lao People’s Democratic Republic: Impacts of the National Immunization Program.」が、International Journal of Infectious Diseasesに掲載されました。
この論文は、NCGM国際医療協力局がラオス保健省、国立感染症研究所(日本)、健康安全保健局(英国)、ロンドン大学、WHO、UNICEFと協力し、多段階クラスターサンプリングを用いて、ラオスにおける麻疹および風疹の全国抗体保有率調査を2014年および2019年の2時点で実施し、それぞれの抗体保有率を人口ベースで推定・比較することで、予防接種プログラムの効果を科学的に評価した論文になります。2014年から2019年の間に、IgG保有率は両疾患で有意に上昇しており、麻疹および風疹排除へ向けて本腰を入れていく段階に入った可能性があることが示唆されました。
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2023年2月17日 Health Systems & Reform
一橋大学本田教授、NCGM国際医療協力局野田医師らによる論文「How Hospitals Overcame Disruptions in the Early Stages of the COVID-19 Pandemic: A Case Study from Tokyo, Japan」がHealth Systems & Reformに掲載されました。
この論文は、新型コロナウイルス感染症パンデミック初期段階での日本の医療施設におけるケーススタディです。医療施設は未知の感染症に直面し、感染症対応と共に通常の保健サービスを提供するために、ガバナンス、人的資源、感染管理、施設および資機材管理等の分野で、様々な事象に柔軟に適応し、変革的な対応をとっていることが明らかになりました。
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2022年12月30日 PLoS ONE
NCGM国際医療協力局宮野真輔医師らによる論文「Prevalence of hepatitis B and C virus infections in Lao People’s Democratic Republic: The first national population-based cross-sectional survey」がPLoS ONEに掲載されました。
この論文は、ラオスにおいて、NCGM国際医療協力局が保健省、WHO、UNICEFと協力して実施した調査をもとに、同国におけるBおよびC型肝炎ウィルスの慢性感染の割合を人口ベースで初めて推定したデータを示しています。さらにそれらの性別、年齢層、地域、民族による違いも分析しており、今後のラオスにおけるウィルス性肝炎対策を考えていく上で、非常に重要な疫学情報を提供しています。
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2022年12月19日 International Journal of Environmental Research and Public Health
NCGM国際医療協力局Thandar研究員らによる論文「Effectiveness of Infection Control Teams in Reducing Healthcare-Associated Infections: A Systematic Review and Meta-Analysis」がInternational Journal of Environmental Research and Public Healthに掲載されました。
この論文は、「医療関連感染の減少に感染制御チーム(ICT)は効果的か」を調べた系統的レビュー・メタアナリシスです。ICTは医療関連感染の発生率および入院期間を低減させないが、リンクナースを配置した場合には感染予防実践のコンプライアンスは改善するという結果でした。先行研究の質の低さが影響していると考えられ、この結果は慎重に解釈する必要があります。ICTの有効性や費用対効果を実証するためには、質の高い研究が望まれます。
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2022年11月23日 Diabetes, Metabolic Syndrome and Obesity: Targets and Therapy
NCGM国際医療協力局袖野美穂医師らによる論文「Association Between Physical Activity and Type 2 Diabetes Using the International Physical Activity Questionnaires: A Case-Control Study at a Health Promoting Hospital in Chiang Mai, Northern Thailand」がDiabetes, Metabolic Syndrome and Obesity: Targets and Therapyに掲載されました。
この論文は、糖尿病罹患者と非糖尿病罹患者の運動量を比較した量的研究です。患者健康教育が盛んな地域においては、糖尿病罹患者の運動量が非糖尿病罹患者よりも高値となることが示唆されます。
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2022年11月29日 BMC Health Research Policy and Systems
NCGM国際医療協力局野崎威功真医師らによる論文「Unmet needs for hypertension diagnosis among older adults in Myanmar: secondary analysis of a multistage sampling study」がBMC Health Research Policy and SystemsのWHO特集号に掲載されました。
この論文は、ミャンマーで2018年に実施された、高齢者の家庭訪問調査のデータを用い、高血圧なのにも関わらず、診断をうけたことがない(アンメットニーズ)のはどういう人なのかに焦点をあてた分析です。
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2022年10月8日 GHM Open
NCGM国際医療協力局清水栄一上級研究員らの論文「Seven steps in the value chain of health products for equitable access and delivery in low- and middle-income countries」が GHM Openに掲載されました。
UHCの達成には、安全で質の高い医療製品へのアクセスが必要不可欠であるとSDGsにおいても明示されています。本論文では、文献調査やケーススタディに基づき、低・中所得国の必要としている人々に必要とされる医療製品を効果的に届けるための包括的な枠組みとして、7つのステップを提案しています。
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2022年9月28日 International Journal of Environmental Research and Public Health
NCGM国際医療協力局松岡上級研究員らによる論文「Access to Health-Related Information, Health Services, and Welfare Services among South and Southeast Asian Immigrants in Japan: A Qualitative Study」がInternational Journal of Environmental Research and Public Healthに掲載されました。
この論文は、日本における在日外国人(ベトナム、ミャンマー、ネパール出身)の保健関連情報、保健・福祉サービスへのアクセスに関する質的調査です。アクセスに係る阻害・促進要因を単に分類・整理するだけでなく、エコロジカルモデルを用いて分析を深めています。これにより、個人レベルから、学校や会社などの組織レベル、そして行政レベルに至るまで、改善のための介入ポイントを提示しています。
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2022年9月13日 Global Health & Medicine
一橋大学 本田教授、NCGM国際医療協力局野田医師らによるLetter「How should support for hospital staff during health shocks be improved? A discussion from Japan's experience during the COVID-19 pandemic」がGlobal Health & Medicine 誌に掲載されました。
COVID-19パンデミックの経験から、保健人材にとって働きやすい環境を作るための戦略等について述べています。
Letterは、こちらからお読みいただけます。
2022年8月31日 Global Health & Medicine
NCGM国際医療協力局田村看護師、井上医師、村上医師によるLetter「International technical cooperation to low- and middle-income countries during the COVID-19 pandemic」がGlobal Health & Medicine誌に掲載されました。
COVID-19パンデミック以降の国際医療協力局の事業の一部を紹介しています。
Letterは、こちらからお読みいただけます。
- https://www.globalhealthmedicine.com/site/article.html?id=241
- https://www.ncgm.go.jp/covid19/academicpaper.html
2022年8月18日 PLoS ONE
NCGM国際医療協力局宮野医師らの論文「Public knowledge, practices, and awareness of antibiotics and antibiotic resistance in Myanmar: The first national mobile phone panel survey」がPLoS ONEに掲載されました。
本論文では、携帯電話パネルサーベイ手法を用いてミャンマーで初めて行われた「抗菌薬およびその耐性(AMR)に対する全国意識調査」にもとづき、一般国民における抗菌薬やその耐性に対する知識、抗菌薬の入手および使用方法、それらの年齢や地域における違いなどついて分析・考察し、今後のミャンマーにおける薬剤耐性対策の方向性について提言をしています。
論文は、こちらからお読みいただけます
2022年7月14日 Tropical Medicine and Health
NCGM 森山潤看護師らによる「コロナ禍でのベトナムにおける医療安全推進のための院内組織体制強化事業(医療技術等国際展開推進事業)」に関する論文が 『Tropical Medicine and Health』 に公開されました。
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2022年6月18日 Human resources for Health
NCGM国際医療協力局本田医師、井上医師、永井医師らの論文「Lessons learned from the history of postgraduate medical training in Japan: from disease-centred care to patient-centred care in an aging society」がHuman resources for Healthに掲載されました。
本論文では、日本の医師卒後研修の歴史を振り返り、その中でも特に専門性重視から全身を診ることができる総合医を目指して仕組みを変えていった過程に着目しています。
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2022年6月14日 Nurse Education Today
NCGM国際医療協力局虎頭客員研究員らによる論文「Medium-term outcomes of a program to upgrade the nursing faculty in Cambodia: A qualitative study」が Nurse Education Today に掲載されました。
この論文は、カンボジアにおける看護師のブリッジングコース(准看護師→看護学士)の効果・影響に関する質的調査です。当コースが及ぼした個人(修了者)レベルへの効果、さらに組織レベルへの影響を研修効果評価の中心的な理論であるカーク・パトリックモデルを用いて説明しています。さらに、これらの効果発現に貢献した周辺要因をエコロジカルモデルを用いて分析しています。
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